編集長が変わってから全く読んでいなかったバイク雑誌 MOTO NAVI. 久しぶりに Motorcycle of the year の特集が組まれていたので, Kindleで購入してみた.
誌面の見せ方には少し工夫してきているものの, 基本的にはこれまでとは変わらず辛口トークのテスターによるガチンコ評価が楽しめる内容となっていた. 各メーカーから車両借りていても, 場合によってはこき下ろすストレートさがMOTYの良さ. 残念であったのは, 提供された車両の個別不具合と想定される事象により評価がグンと下がってしまうケースがあること. 本当に個別問題であるならば, メーカー側は貸し出すうえで万全の整備をして欲しいと思う. そういう面で, 今回のオンロード部門でBMW S1000RRが最下位に沈んだことは驚いた. これはテスターの1人である辻本聡氏がスロットルと足回りの違和感を訴え, 評価自体を見送ったことが大きいとは言え, 他のテスターも違和感を感じていたようなので, BMW Japanの広報部は再発防止すべきではないだろうか. テスト環境がショートサーキットで不利とは言え, 新型S1000RRの実力がこのような形で評価されるのは不本意極まりないであろう.
オンロード部門で意外であったのが, Aprilia RSV4 1100 FACTORYが大健闘していたこと. テスター評価を読むと素晴らしい出来栄えのようで, Apriliaというメーカーは日本でもう少し評価されるべきなのだろうにと思ってしまう. 車で言えばジャガーかな. 消費者目線としては出来のよいモデルが中古で安価に流通しているので, 欲しい人にとっては有難いかも(手放すときは二束三文ということになるが).
さて, アドベンチャー部門ではBMWが明暗を分けた. R1250GS Adventureは安定トップの一方で, 何とF850GS Adventureが最下位となったのは意外. 乗りやすいがBMWとしてのプラスアルファが欲しいという点と, 燃料タンク含めてFモデルとしては大きすぎるという評価. 確かに低身長・短足の私でも, 同じアドベンチャーモデルでもRには乗れる気がするけど, Fはちょっと無理だろうと感じてしまう. Rはボクサーエンジンで低重心のため, 車体が大きくても引き起こしや取り回しにあまり苦労しないという利点がある. 実際にサイズとしてもFアドベンチャーは巨大で, 全長はRよりも長く, シート高もRよりかなり高い. 重量はFの方が20kg軽いが, 重心の関係でRの方が一般ライダーには扱い易いということだ.
また, 今回は評価対象モデルが豪華であったこともツイてなかったかもしれない. CRF 1100L AfricaTwin, KTM 790 Adventure R, Motoguzzi V85TT 等… どれも素晴らしいアドベンチャー・エンデューロモデルではないか!
それにしても, 絶対的な価格が上昇しているとは言え, 世の中にはオンもオフも素晴らしいモデルが乱立し, 何とも凄い時代だな. 後は私が爺さんになった頃に電動モデルが成熟し, 同じような感慨にふけるのであろうか. それとも, 電動化の発展はそこまでスピード感が出ないであろうか.