理解が深まってきた

E01をしばらく乗ってみて, それなりに理解が進んだところがある.

まず片道約17kmの通勤で利用した電費について. ECOモードを基本として, ここぞという時だけSTDモードに切り替える乗り方をした場合は, 往復(約34km)の距離でフル充電状態から1メーター消費した程度だった. 新車ということでバッテリ性能も最良とはいえ, これは優秀ではないだろうか. これならば充電をサボっても, さほど困ることはないはず. 一方, 往路はSTD中心に・復路はPWRモード中心の乗り方をしてみると, 3メーター消費したことから, ECOとPWRの電費差はそれなりに大きいことが分かる.

さて, ここからが「何故EVを買うのか」というテーマにつながっていくのだが, 運転していてラクチンであり・安全であり・楽しいのは圧倒的にPWRモードだ. 前回の投稿でECOモードは非力であると書いたのは, 車両引取り後に幹線道路のみを走ったことにより, 加速感・速度感を正しく認識できていなかったことが要因. 住宅街を走ってみて, ECOモードでもガソリンエンジンのAxis Zと比較しても遅いということは無かったので, ここで訂正したい. ただしECOモードではメーター読み65km/h程度で速度頭打ちとなるため, 幹線道路で加速したい時は車体が前に出ないため結構焦ることになる.

ところがPWRモードではアクセル開度と速度感が一致しており, 一気に加速して合流したい時等, 安全運転にもつながる. E01の完成度が素晴らしいのは制御プログラムの出来が良く, PWRモードであってもアクセル開閉でギクシャクすることは一切無いし, 急なアクセル開でもジェントルな動きを見せる. EV車のパワーモードとなると, ガソリンFI車が普及し始めた頃の所謂ドンツキ挙動をイメージしてしまうが, その乗り味は本当に次世代モビリティということを意識する. 何度も言うが, EVの持ち味というのもあるだろうが, ヤマハが開発したこの車両の完成度の高さというもの非常に感じる. 少しネガな点を言うと, 車両が重い分, ブレーキはもう少し奥でグッと効くタッチと絶対的な制動力アップをお願いしたい. もう1点はE01というより電動バイク共通のネガな点として, 車の死角に入って走行するのはかなり危険だということ. 最近の車はセンサーで周囲の走行車両をモニターしてドライバーに伝える機能を備えていたりもするが, 通常は死角にバイクが走行していないかはドライバー自身が目視含めてチェックすることが基本. 案の定, 幹線道路を運転していた時に無音の電動バイクに気付かず, 突然車線変更してきて私のE01を薙ぎ倒そうとしたドライバーがいた.

「何故EVを買うのか」を, コストやエコ度で考えると結構難しい. このE01をどのような価格設定でリリースするのかは不明だが, 125ccスクーターの圧倒的コスパに対抗するには燃費(電費)だけでは勝負にならないのは明白. エンジン車はきちんとメンテナンスすれば何万kmでも何年でも乗り続けることができるだろうが, EV車は特にE01のような固定バッテリーだとその寿命により大きなコスト負担が発生してしまう, しかもバッテリー廃棄を考えると本当にエコなのかという疑問もある. ユーザーにとってみるとバッテリー交換時のコスト負荷を機に車両を手放してしまう可能性もあり(車だと初代日産リーフやBMW ActiveHybridのリセールがとんでもないことに), 車両ライフでみてエコ度が怪しい. そのようなリスクが想定される中, 高価格で電動バイクを発売して, 誰が買うのかと.

その辺りの最終的な見極めが今回の実証目的なのだろうか. E01のメーターにはGPSマークがあり, どうやら位置情報をロギングしているようだから, 実証が終わった後に100台分のログ情報を分析して, ユーザーがどのような使い方をしているのか, 目的地・乗り方・充電頻度等を把握して, 最終的には商品価値・値付けに反映させるのかな.

まだ短い期間であるが, E01に乗ってみて私個人の意見として電動バイクに求めること. それは, 単純なコスパではなく圧倒的なモーターならではの乗り味と性能, つまりスペシャル感・プレミアム感だ. コスパや使い勝手(充電の手間等)で考えるとガソリン車に絶対勝てる訳がなく, やはりやや高い価格であってもガソリン車では得られないパフォーマンスを得たい, という動機しかないかな. パフォーマンスとは静粛性・加速性能・低重心による操安性の3点.

E01に乗った直後は振動も排気音も無いことに対して, なんと無味乾燥な乗り物なんだと感じ, とてもじゃないが移動手段としては良いが, 趣味バイクとしてワインディング走行等あり得ないと思ったが, 乗っていくうちに変化が出てきた. 確かに排気音が無いため高揚感は味わいにくいのだが, 車重があるのにハンドリングは犠牲になっていないところもある. これはこれで, 技術開発が進めば趣味バイクとしても成り立ち得るのかもしれない, と. いやむしろその要素でプレミアム感を出していかないと, 台数が出にくいバイク市場ではまだまだ厳しいような気がする. もしくは, 台数が出るスクーター市場でのコスト適正化に向けて, 当面はメーカーもあえて低い価格設定した上で国・東京都の補助金により普及を図るかだ. 東京都の補助金がかなり大きいため, E01の小売価格が低く設定されるならば, 十分に検討に値すると言える.

E01の製品としての完成度は十分, あとは一体いくらで販売するのか.

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